書籍・雑誌

2023年9月24日 (日)

【書籍】『複数の時計』再読

 「アガサ・クリスティー」著、うーん、「ポアロ」おじさんの出番が少なすぎる!!まあ、もう引退状態なので仕方がないが、シリーズ愛好者には寂しい推理小説です。

 タイトル、そして複数の時計に囲まれた死体──その点は記憶に残っているも、何故か内容が"さっぱり"思い出せない本作。

~成程、その時点で術中に嵌っていたわけか。~

 一つの視点として「コリン・ラム」という秘密情報部員の捜査&活動も絡むのですが、クリスティー女史、ちょっと"その方面"は正直、「お得意ではないのかな。」と私は感じている部分なので、今回も「えっ、優秀な部員がこんな事に気づかないの?」部分あり。

 ちょっと目晦ましが多過ぎて、無駄に頁数が増えているなぁ、と思う部分もありますが、期待通りの読書スピードと読後感を与えてくれる点は、流石です。

~~~~~

 過去に派遣された記憶はないが、名指しでとある夫人の家へ呼ばれたタイピスト「シェイラ」。

不在の場合、中に入って居間で待っていてくれ、との指示に従い、入ると──死体!!。

~~~~~

 クリスティー作品再読も、残り数冊になってきた。今年中には完了するかな。

さて、最後に作品一覧と感想へのリンクを。

『アガサ・クリスティー百科事典』

(記:スッタコ小僧)

2023年9月23日 (土)

【書籍】『十日間の不思議』再読

 「エラリイ・クイーン」著、見た目は平和な田舎町・・・ライツヴィルで三度、"ドラマ"と事件に遭遇するエラリイ、本格推理小説です。新訳版を読みました。

~エラリイ名義のシリーズ作品で、おそらく私が一番印象に残っているのは本作かも。~

 タイトルと十日間での事件といった所が、記憶に刻みついていました。

ただ、読んだ時期が早かったのか、文化と宗教の知識の違いからか、多分、当時は犯人には驚くも、"諸々込められたモノ"にあまり「ピンッ」と来なかったんだろうなぁ。

 色々な知識と経験を学んだあと、再読すると、もちろん伏線の妙にも感嘆しますが、その仕掛けには驚嘆です。

~~~~~

 記憶障害が時々発生し、その症状が発生している最中に「何かを起こしてしまわないか」心配のハワード青年。

友人であるエラリイに、自身を見張って欲しいとの依頼を。

 ハワードの家は、なんとここ最近、エラリイと縁のあるライツヴィル。

そして、事件は動き出す───。

~~~~~

 前述の通り、事件の内容がすっ飛んでいたので、過去の過度の美化かな・・・と心配して読み始めたのですが、いやはや、過去の記憶以上、予想以上の面白さを提供してくれました。

 これは、次のライツヴィル作品もかなり期待できるぞ、俄然、再読スピードがアップしそうです。

 さて、最後に著者の作品一覧と感想へのリンクを。

『エラリー・クイーン完全ガイド』

(記:スッタコ小僧)

2023年9月19日 (火)

【書籍】『謎、買い取ります。質屋「六文屋」の訳アリな訪問客』読破

 「吉川美樹」著、狭い路地から辿り着くカフェ&質屋!?、持ち込まれた"質"に秘められた"サイン"を読み解く若き店主と陽気なカフェ店主コンビを描く"日常系"ミステリです。

 ライトな作品、最近の作品も読んでおこうかな──で、手に取った作品です。

 設定が面白そうだったから手に取ったのですが、質屋では『万能鑑定士』シリーズがあるので、珍しくはなかったか。

~はぁ、暗号解読系・・・読み解く系は"加減"が難しいので、大変そうだなぁ。~

 簡単過ぎたらつまらんし、難しくして読んでいる側がほとんど分からない知識をポンポン入れて解読されても、つまらない。。。

 占いでその日の気分が決まる店主「片倉十士(かたくら・とうし)」と「おかえりなさーい」とお客を迎える「上田ミカ」、二人の"掛け合い"──では、惹きつけるには少し魅力不足に感じました。

 このタイトルから、"謎"が弱いのは厳しい・・・当初の"ライト(軽い)感"を吹き飛ばすミステリを提供してくれたら、凄く印象に残ったのですが、正直、「やっぱり・・・」との結果になってしまったのが残念です。

(記:スッタコ小僧)

【書籍】『影のない四十日間』読破

 「オリヴィエ・トリュック」著、日照時間の少ない北欧を舞台にした警察小説、それとも先住民とトナカイ警察・所有者達を描いたサスペンス・・・えっ、〇〇探しの冒険譚!?作品です。

 複数の賞を受賞した「傑作ミステリ」との記載があり、大分、期待して読み進めたのですが──

~えっ、本作はシリーズ作品の一部なのか。それとも次へ続くなのか。。。えっ、結局、描きたかったのは何だろう。~

 色々なモノを描いているのですが、どれも"もどかしさ"を残す中途半端な決着との印象でした。

なので、本作は前段作品か、もしかしたら後続作品があり、その中で"もどかしい"点へ解答してくれているかもしれません。

 仮に<この一冊>で完結しているのだとしたら・・・吃驚ですよ。

~~~~~

 先住民サーミ人・・・久しぶりに世に出てきた伝統の太鼓が博物館から盗まれる。

そして期間を空けず、トナカイ所有者の一人が殺害される事件が発生する。

 トナカイ警察のベテラン「クレメット」と新人「ニーナ」が捜査に乗り出す。

~~~~~

 社会、政治的な問題について描きたかったのか・・・うーん、触れているけど"薄い"なぁ。(まあ、簡単に解決や結論が出る問題ではないだけに、記載は難しいのかと思うのですが。)

 トナカイ警察については、、、まあ、その構成や活動実態は若干、分かりますが、その苦労や"やりがい"といったモノは伝わって来なかったので、その点も著者の書きたかった事ではないのかな。

 ベテランと新人コンビ、この主人公達の過去や経験を掘り下げた・・・は、無かったので"人"を描きたかった訳でもないのか。

後半は前述の〇〇探し状態となり、過去に関する意外というか、唐突の関係と真相を繰り出してきたり、ちょっと詰め込みというか、無理矢理感がある終盤となっており、ちょっと消化不良でした。

(記:スッタコ小僧)

2023年9月12日 (火)

【書籍】『蒼ざめた馬』再読

 「アガサ・クリスティー」著のノン・シリーズの一作、正義感&好奇心旺盛の男女が遭遇、いや首を突っ込んで独自捜査するオカルティックな事件を描く推理小説です。

以前に海外テレビドラマ版を視聴した際は、《著者特有の雰囲気ではない、いやにオカルト・ホラーちっくな作品だ、こんなんだっけ(面白かったけど)》と思っていたのですが、ドラマ向けに改変されていた結果だったのか。

~オドロオドロしさはありつつも、いつものロマンス風味を含めた男女の探偵冒険譚!!~

 ドラマ版の影響で若干、身構えていた所、"いつもの調子"で少し拍子抜けしましたが、相変わらずの読み易さで、次を次をと──グイグイ読ませる内容でした。

本当、著者の作品を読む時は「もう一冊」予備を持っていないと、あれれっ、読み終わってしまって帰りの通勤時間、読むモノが無い・・・状態となりますので、ご注意を。

~~~~

 危篤状態の女性に呼ばれ、その女性の告白・・・「邪悪な──」を聞いた神父。

女性は亡くなり、その帰途、神父は何者かの一撃を受けて殺害される・・・。

 一方、学者「マーク・イースターブルック」は"とある偶然からの出逢い"から、奇妙な縁の死と巡り合う。

そして出逢った言葉「蒼ざめた馬」とは───。

~~~~

 騒々しい推理作家「アリアドニ・オリヴァ」夫人も出て来るし、オカルト趣味に満ちているも、何故か"陽"な作品です。

ドラマ版は真逆だったような印象を受けたのですが、それはそれで楽しめたので、ドラマ版も必見ですよ。

 さて、最後に著者の作品一覧と感想へのリンクを──。

『アガサ・クリスティー百科事典』

(記:スッタコ小僧)

2023年9月 9日 (土)

【書籍】『災厄の町』再読

 「エラリイ・クイーン」著、小説家「エラリイ」が静かな田舎の"ひと町"「ライツヴィル」滞在で遭遇した毒殺事件を描く本格ミステリ小説です。

 新訳版を再読です、内容を幾分、忘れていたのですが、読み始めると"ゾクゾク"と色々な設定を思い出してきました。

なので、結末へ到達した時の衝撃は、(そもそも再読なので)弱かったのですが、「成程、著者の一人がベストに挙げるわけだ。」──と納得の一作となっております。

 国名シリーズとは異なり、「推理問題、始めるよー!」ではなく、解説にも記載されているように"文学"を目指している(!?)のか、確かに初期作品の"出題文を読まされている"印象を感じる事なく、事件発生までが長いのですが、読み易い作品でした。

 ただ、正直に言うと「推理QA」的な著者の作風を今回、読みたくて手に取った意図があったので、少し思惑と外れた結果になったかな。

面白かったけど"推理問題"とすると解答(理由含む)に辿り着くのは容易な内容なので。

~~~~

 「ライツヴィル」の名士「ライト」一家の三姉妹、その一人次女「ノーラ」。

幸せな結婚を迎えるはずが、結婚式直前に夫となるはずだった恋人「ジム」が失踪!?。

──三年後、「エラリイ」が執筆の為に「ジム」&「ノーラ」の新居になるはずだった家を借りていた所に「ジム」が帰還!!。

 そして結婚、やっと「ノーラ」に幸福な日々が訪れるのかと思いきや。。。

~~~~

 さて、最後に著者作品一覧と感想へのリンクを。

『エラリー・クイーン完全ガイド』

(記:スッタコ小僧)

2023年9月 6日 (水)

【書籍】『名もなき毒』読破

 「宮部みゆき」著、2007年「吉川英治文学賞」受賞作──ミステリ?サスペンス?いや、主人公が温和なお人好しの"異色ハードボイルド"作品です。

 「宮部」さんが描くミステリは結構、読むと"ズン"と重い感想を残す作品と私の中では刻まれてます。(初読は『火車』でした。)

なので、ここ最近の疲れ切っている中、危険かな・・・と思ったのですが、読みたい欲求が勝ってしまった。

~いやぁ、止まらないなぁ。結構な厚さの文庫本なのにスラスラと読み進めてしまう。~

 ただ、ここ最近、同ジャンルや映画で<この手の深淵>を描いた作品に触れた機会が多かったので、「相変わらず、著者の作品、読み込ませる内容だなぁ」以外には、大きなダメージは無かったです。(ちょっと、寂しかったかな。)

~~~~

 馘にしたアルバイトの問題に加えて、その関係から無差別連続殺人事件の被害者遺族と知り合う事になった、逆玉と陰口を叩かれる事もあるお人好し「杉村三郎」。

 普通に幸せに暮らす中、タイトルの毒が・・・・。

~~~~

 今回は前述の経験から、衝撃は少なかったですが、相変わらず力強い作品です。

著者の作品、どうしても読む前に身構えてしまう、既に映像化されている作品も小説で読みたいのですが、自分で敷居を上げてしまっていました。

 でも、本作の読後、若干、取っつき易いというか、手を伸ばし易くなったかも知れません。

(記:スッタコ小僧)

2023年9月 3日 (日)

【書籍】『昔には帰れない』読破

 「R・A・ラファティ」著、これSFか!?異色ファンタジーのように感じられる作品も・・・驚きのSF作品が詰まった中短編集です。

~《マッドSF作家》との紹介、頷ける。。。~

 あとがきにて本書の訳者の一人である方が記載しております、この読後感──納得の呼称ですね。

あまりに内容が分からない、把握できないSF作品は読むのが苦痛となるはずなのですが・・・著者、何か"絶妙な部分"を突いてくるんだよなぁ、全く理解できない訳ではなく、成程と思う部分/想像がつくもあり、微妙な距離を保ってくれている。

訳者の方の選出内容や掲載順が良かったのかもしれませんが、お陰で最後まで楽しく読む事ができました。

 それにしても1960?70年代で、アメリカではこの"独自路線SF"を繰り出してきていたのか。

ミステリよりSFは冊数、あまり読んでいないので、私の認識違いなのかもしれませんが、一つ頭抜きんでているなぁ、と吃驚です。

 映画やアニメのジャンルでは味わう事ができない、SF小説ならではの"SF"を久しぶりに体感できました。

本書は第二弾で、第一弾もあるのか。タイトル『九百人のお祖母さん』・・・いやぁ、普通なら手を伸ばさないタイトル、でも著者を知ったからには、読んでみたいと思います。

 さて、本書に収録されている作品一覧を。

・素顔のユリーマ

・月の裏側

・楽園にて

・パイン・キャッスル

・ぴかぴかコインの湧きでる泉

・崖を登る

・小石はどこから

・昔には帰れない

・忘れた偽足

・ゴールデン・トラバント

・そして、わが名は

・大河の千の岸辺

・すべての陸地ふたたび溢れいづるとき

・廃品置き場の裏面史

・行間からはみだすものを読め

・一八七三年のテレビドラマ

(記:スッタコ小僧)

 

2023年9月 1日 (金)

【書籍】『亥子(いのこ)ころころ』読破

 「西條奈加(さいじょう・なか)」著、諸国で修行した時のお菓子を再現し江戸で庶民向けに提供する、大人気の行列店「南星屋(なんぼしや)」を舞台にした時代小説、第二弾です。

 第一弾ですっかり虜になってしまったシリーズ、和菓子にあまり詳しくはないので、有名なお土産以外はお菓子の映像が浮かびづらいのですが、それでも楽しめる・・・近くの和菓子店、久しぶりに行きたくなりました。(結構、お高いので敷居が高い。。。)

 主の「治兵衛(じへえ)」と娘「お永」、孫娘の「お君」の三人暮らしに異変!?店前で行き倒れていた京から出てきた菓子職人が、職人自身の事情も絡んで、お店に色々と"風"を起こす展開となっています。

 前作のような大きな事件はなく(私はこちらの方が"のんびり"和菓子の美味しそうな気配を感じられたのでOKなのですが)、物語的に物足りない人もいたかも──といった読後感です。

 三作目もあるようですね、読みたい所ですが、そろそろ"かのミステリー女王"の再読を終わらせておきたいので。

(記:スッタコ小僧)

【書籍】『ミン・スーが犯した幾千もの罪』読破

 「トム・リン」著、異色の西部劇!?いや中国系殺し屋のクライム・サスペンス!?いやいやアクションや、えっ、異能力を持つサーカスの面々って──まさに"異色"の作品です。

 「アンドリュー・カーネギー・メダル受賞」・・・まあ、初めて聞いた賞ですが、賞受賞の宣伝文句と文量が少なくて「スカッ」と読めそうだったので手に取りました。

~ストーリー展開は良くある復讐譚なのですが、登場人物達がぶっ飛んでいる、本当に"主人公"以外が。~

 アクション担当は「ミン・スー」なので、主人公を見失う事はありませんが、預言者と呼ばれる旅を共にする老人といい、出逢った奇術ショーの面々といい、インパクトが強すぎる!!。

 「ミン・スー」の復讐相手達が霞んで霞んでしまっていますよ。

なんだろう、表現は難しいのですが"向こうのライトノベル"という感じでスラスラと読めました。

 読んでいる内はインパクト強しなのですが、読み終わって記事を書いていると・・・衝撃は過ぎ去っていて、ちょっと印象が薄くなっている作品です。(まあ、記事を書くまでに映像的に衝撃のあるアニメ等、見た事が影響しているかも。読後、直ぐの記事だったら違ったかな。)

 本作が著者のデビュー作との事。他にも書いているのであれば、もっと読んでみたいので、早く邦訳されることを望みます。

(記:スッタコ小僧)

 

より以前の記事一覧

2023年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ

リンク