【書籍】『前巷説百物語』読破
「京極夏彦(きょうごく・なつひこ)」、「小股潜りの又市」がその名を嫌い、皆に「青臭いガキ」と呼ばれていた頃──【(妖怪!?)時代推理小説】シリーズの"ZERO/零"を描く第4弾です。
損料屋「ゑんま屋」にて経験を積み、仇敵とのファースト・バトル、新たな仲間との出遭い、そして「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)─」誕生。
本シリーズの根本および骨子が詰まった作品となっています。
最近、ネタがなくなると《前日譚》へ戻る傾向が色々なジャンルに見られます。
最初から《前日譚》の構想があって戻る分には良いのですが、中には取って付けたようなモノも多々あるので、少し不安だったのですが・・・・・・。
~シリーズ当初から構想があったのか!?、各話ボリューム&内容が十二分です。~
各話のタイトルにメジャー級の"妖"が多い点からも、私には上記のように感じました。
また、構成が心憎い──
1)依頼人の苦境、依頼内容&ターゲット判明
2)岡っ引き「万三(まんぞう)」が遭遇、上司に「志方(しかた)」に報告する不思議話
3)明かされる仕掛け
4)更に明かされる・・・・・・
4番目があるのが、「又市」がまだ未熟だった所でしょうか。
○「寝肥(ねぶとり)」
身請け⇒身請け先の隠居死亡×4。
「又市」が惚れた(!?)女性「お葉」──その彼女が主殺害にて、自殺未遂!?。
自殺現場を止めた「又市」は損料屋に事件解決を依頼する──人の心、関係の複雑さを知る「又市」。
○「周防大蟆(すおうのおおがま)」
仕組まれた仇討ち、損料屋から提示された解決策は「依頼人が死ぬ事を手助け」!?。
八方塞の解決策に「又市」は自ら"妖"を使った策を捻りだす。
○「二口女(ふたくちおんな)」
継子を殺したと告白してきた女性。
しかし、その真実を明らかにすると更に損──周りに悲劇を呼ぶ。
殺害が事実とすれば許せない思い、真相暴露の影響への懸念、板ばさみの「又市」が取った行動とは。
○「かみなり」
「ゑんま屋」絶対絶命のピンチ。
裏の殺し屋達に捕まった「又市」達、はったりにて「又市」のみ抜け出すも策はなし。
しかし、そこに・・・・・・。
○「山地乳(やまちち)」
既に死人!?、姿の見えない悪の元締め「稲荷坂の祗右衛門(ぎえもん)」。
弱い立場の人間を利用した人殺しを止める為、「又市」達は殺し屋達に再戦を挑む!!。
○「旧鼠(きゅうそ)」
一人、一人、やられていく仲間。
"猫の王"「稲荷坂の祗右衛門(ぎえもん)」による「ゑんま屋」潰しが始まった!!。
絶体絶命の中、助っ人の力を借りて「窮鼠猫を噛む」!?──猫を喰らう「旧鼠」への第一歩の作品。
第5弾を先に読んでしまっているので、とりあえずは現時点にてシリーズ全巻読破です。
うーん、最新作が待ち遠しいような、このまま有終の美を飾って欲しいような・・・・・・。
さて、最後にシリーズの感想(過去記事)へのリンクを──
『巷説百物語』
『続巷説百物語』
『後巷説百物語』
(本書)
『西巷説百物語』
(記:スッタコ小僧)
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