【書籍】『九マイルは遠すぎる』読破
「ハリイ・ケメルマン」著、"新たな安楽椅子探偵を見た"──英文学教授「ニッキイ・ウォルト」教授の華麗な推理を描く短編集です。
序文にて表題作の推敲に十四年もかかったとの記載があり、かなり"心して(期待して)"読んだのですが・・・・・・えっ、これが十四年の成果とがっくり。
私の読み込みが足りないだけかもしれませんが、なんとも不安を感じさせる始まりです。
けれどもその後に続く作品にて、大いに盛り返してくれました。(短編集はそこがいい所ですね・・・・・・一つの作品(事件)が駄目でも、まだ他の作品にて挽回のチャンスあり。)
~「最後は、なんで今まで本作を読まなかったのだろう、また本作に辿り着かなかったのかなぁ」と頭を捻るばかり。~
有名な探偵達には今まで読んできた本の作中、またはあとがき等に度々現れる為、気にかけて、粗方、読んでいたつもりだったのですが・・・・・・。
でも、著者の別シリーズは読んだ記憶あり・・・・・・こっちの探偵に気づかなかったとは不覚です。
~とにもかくにも、安楽椅子探偵の魅力、そして短編集の魅力を十分に味あわせてくれた作品でした。~
○「九マイルは遠すぎる」
「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となるとなおさらだ」。
十語ないし十二語からなる一つの文章から一連の論理的な推論を引き出すと豪語する「ニッキイ・ウォルト」教授に出された一つの文章。
教授はその文章から、恐るべき推論を"ぶちかます"!!。
○「わらの男」
あるお金持ちの家から娘が誘拐された。
身代金を支払い娘は無事戻ってきたのだが・・・・・・娘の父親の兄が翌日、持病の心臓発作に襲われ、急死。
急死した男が誘拐事件に関して雇っていた探偵が持参した脅迫状から数々の奇妙な事実が判明する。
それらの事実を繋げた教授の推理とは──。
○「10時の学者」
博士論文審査試験の候補者が欠席──自室で殺害されいた!!。
色々な容疑者が挙がる中、教授は死体に残されていたある手掛かりから真相に辿り着く!!。
○「エンド・プレイ」
友人とのチェスの最中、訪問を受け玄関に・・・・・・その後、戻らぬと思ったら死体で見つかった男性。
射殺!?、それとも自殺!?・・・・・・数々の推理が錯綜する中、教授が事件現場写真より、意外な指摘を実施する。
○「時計を二つ持つ男」
超自然現象を議論する中で披露された「呪い殺された男」の話。
腕時計と懐中時計の二つを持ち歩き、両者で時間を確かめる習慣を持つ実業家。
吝嗇家で人使いの荒い伯父貴に辟易の甥。
その甥が負の言霊が叶えられた!?・・・・・・十二時に家の外から叫んだ事が、家の中で現実に。
偶然、それとも──教授の名推理が冴える。
○「おしゃべり湯沸かし」
隣の部屋から聞こえてきた湯沸しの音。
なんとそこから、教授が恐るべき推理を"繰り出す"。
○「ありふれた事件」
ブリザード明けに土手の中から見つかった死体。
容疑者は直ぐに挙がり、一見落着と思われたのですが・・・・・・。
死体の捨てられた状況から、教授の推理が事件を"ひっくり返す"。
○「梯子の上の男」
著名な学者が死亡・・・・・・当初は事故かと思われたが。
続く事故/事件に教授が終止符を打つ!!。
(記:スッタコ小僧)
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