【書籍】『宇宙捜査艦《ギガンテス》』読破
『宇宙捜査艦《ギガンテス》』は「二階堂蘭子」シリーズで有名な「二階堂黎人」氏の長編SFミステリーです。
私は次の作品『聖域の殺戮』を読んでおり、本作品を読み進めていて記憶にある登場人物が出てきて、気づきました。(もしかすると『聖域の殺戮』の後書きなどにきちんと書いてあったのかも知れませんが・・・。)
上記『聖域の殺戮』もそうですが、本命の「蘭子」シリーズ『魔術王事件』についても個人的には「期待外れ」の結果に終わっていました。
本作および『聖域の殺戮』はSFと銘打っている通り、宇宙および宇宙人、未来の技術などが多数出てきます。
読み手としては上記SF設定を活かしたトリックを期待しているのですが。
残念ながら『聖域の殺戮』では不十分であったと思うのです。
本作はその前に書かれたものであり、おそらくSFで長編をやろうと思った初期の作品であることから、新鮮なトリックを期待して読み進めていました。
発生する事件は、推理小説の永遠のテーマ(?)である「密室もの」です。犯人および凶器すら出入りした形跡のない部屋で、三人の和平交渉者が
一人は銃で銃殺かつバラバラに
一人は鈍器で撲殺に
一人は腕を切断され、重症
で発見されました。
上記犯人を調査するのが《ギガンテス》メンバーに課せられた任務です。
序盤および物語中盤でもミステリー小説とは思えないほど、銃撃戦や艦隊戦の描写があります。
上記は物語の盛り上げに一役買っているのですが、肝心の謎解き部分については正直がっかりです。
『聖域の殺戮』に続いて今作もSFを利用した設定・トリックが不十分だと感じたし、何より動機がつまらなかった。
序盤に謎の敵・機械生命体ガルグーダとの戦闘、その後もちょくちょく「ガルグーダ」は話題に挙がっていたので、てっきり何かの伏線かと思っていたのですが。(終盤、正体・侵略の目的などが明らかになるものと期待していたのですが、裏切られました。)
最近は、楽しみにしていたシリーズにことごとく裏切られ続けている(※1)ので、昔の作品の読み返しが多くなってきています。
推理小説で再読は、
「既にトリックや犯人も分かっていることからつまらないのでは・・・。」
と思う方もいるかもしれませんが、前回読んだときに気づかなかった伏線、作者の意図などが分かり、トリックや犯人の新鮮味はありませんが、違った面でとても楽しめるので、お勧めです。(あまり印象的なトリックおよび犯人でないと忘れていることもあるのですが。)
※1 「綾辻行人」氏の『暗黒館の殺人』、「京極夏彦」氏の『陰摩羅鬼の瑕』など。
(記:スッタコ小僧)
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